コーヒーって、何だと思いますか? 果実? 種子? それとも豆? 普段なにげなく目にしているおなじみのコーヒー豆。 ですが、植物としてのコーヒーにはそこはかとない奥深さがあります。 ここでは、難しくなりがちな「コーヒー」について、わかりやすく簡単に解説していきます。スラープのコーヒーレターにある「品種」を見るのがきっと楽しくなると思いますよ!
植物としてのコーヒーノキ
「コーヒーノキ」これがコーヒーの実のなる木です。 現在では129もの種が知られています。しかし、その中で「コーヒー」をとるために栽培されているものは、何とたったの2種類だけ。それがアラビカ種とカネフォーラ(ロブスタ)種なのです。
生産されているコーヒーのうち65%を占めるアラビカ種はエチオピア高原が原産。標高1,000〜2,000mの涼しい高地での栽培に適しています。 一方、カフォネラ種(ロブスタ種)はアラビカ種よりも病気に強く、低地でも上手に育てることができます。
このアラビカ種とロブスタ種、同じコーヒーノキですが、味が異なります。一般的にアラビカ種のほうが勝ると言われており、世の中に出回るスペシャルティコーヒーはアラビカ種がほとんどです。とはいえ、アラビカ種のすべてがスペシャルティコーヒー用に利用されるというわけではありません。アラビカ種の中でも、特にクオリティの高い豆をを使うことが必要です。 ここではスペシャルティコーヒーの世界でよく栽培されている代表的な品種についてご紹介します。
品種について
ティピカ種
ブルボンと袂を分ける二大原品種のひとつ。アラビカ種の中では原種に最も近い品種。1723年にオランダ人のド・クリューが伝えた1本の子孫。果実は赤く、風味も優れているが生産量が少ない。
ブルボン種
コーヒーの二大原品種のひとつ。イエメンからレユニオン(ブルボン)島に伝えられた1本の子孫。ティピカ種が突然変異してできたもので、特有の甘さがある。豆は小粒。果実実は種類によって、赤、黄色、オレンジ色とバリエーションがある。
カトゥーラ種
1937年にブラジルで発見されたブルボン種の突然変異種。コロンビアをはじめ中米で人気のある品種。標高の高いところで育ったものほど品質が高いが、収穫量は減る。樹木は高くならないため、手摘みに適している。
ムンドノーボ種
ブラジルで作られたティピカとブルボン種の自然交配種。Mundo Novoとはポルトガル語で「新世界」の意味。1940年代にこの種が発見されたブラジルの地名に由来する。1,000〜1,200mの標高が低い環境でもよく育つ。現在では、カトゥーラ、カトゥアイと並ぶブラジルの主力商品。
カトゥアイ種
1950年代〜60年代に、ブラジルのカンピーナス農業試験所が開発したカトゥーラとムンド・ノーボの後継品種。カトゥーラとムンドノーボの長所を兼ね備え、生産性や耐久性に適している。
SL28
1930年にケニアのスコット研究所(SL)が乾燥に強いタンザニア原産の品種から選別した。サイズも大きく、大きい果実が実り、果実味あふれた豊かな風味を蓄えている。
SL34
こちらもケニアのスコット研究所(SL)が「フレンチミッション」と呼ばれるブルボン種から選別。SL28に比べて風味は若干劣るとされているが、果実味が強く、スペシャルティコーヒー向きである点に変わりはない。
ゲイシャ種
近年、最も話題を集めている高級品種。エチオピア西部にある町の名前「geisha」にちなんで命名。花や香水のような華やかな香りが特徴。2004年にパナマのエスメラルダ農園が品評会に出し、当時の世界最高値で落札されたことで一気に世界的な名声を得た。
スーダン・ルーメ種
エチオピアとの国境に近いスーダンのボマ高原にあるルメ渓谷にルーツをもつとされる希少種のコーヒー。エチオピアの在来種の子孫とされており1942年に発見された。サビ病への耐性があることから品種改良にDNAを提供してきたが、最近のレアコーヒーへの需要の高まりと共に市場に出てくるようになった。
シドラ種
南米エクアドルの研究農場で、レッドバーボンとティピカの交配種として誕生した新しい品種。香り、味、風味ともに格別な質を兼ね備え、スペシャルティコーヒー市場で注目を集めている。2016年から植え付けが始まったばかり。作付け面積がまだまだ小さく希少価値が高い。
ハイブリッドティモール種
1940年代に東ティモールで発見されたアラビカ種とロブスタ種の交配種。サビ病に耐性がある。両種の長所を兼ね備えた品種として、注目を集めている。
エアルーム種
エチオピアで栽培されている在来種。たくさんの種類があるために、その詳細はまだ解明されていないが、品種改良された交配種に比べて土地や気候の個性を捉えた味のものが多いとされている。