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コーヒー生産における透明性

コーヒー生産における透明性
2019-09-27 Nobuko Utsunomiya

透明性があり、倫理的で環境的に持続可能なコーヒー生産は、スペシャルティコーヒーを語る上で欠かせないキーワードです。でも、実際にはどんなことを意味しているのでしょうか?

コーヒーは、多くの人にとって毎日の大部分を占める存在になっていますが、あなたが飲んでいるコーヒーはどこから来ていますか?いまいちよくわからないという方が多いかと思います。日本人の4倍コーヒーを飲む、ここフィンランドでも、これらのキーワードについて知っている人はさほど多くないのが現状です。

コーヒー生産における問題点

多くの場合、コーヒー生産の問題点とは、コーヒーの購入の流れを遡ることができない、ということです。コーヒーは生産国現地から買われますが、生産者と最終的な買い手との間には、最大20もの人々を介することさえあるのです。これらの人々は自分の懐に多くの利益を入れるため、最終的にとても少ないお金しか生産者のもとに残りません。
Couple on a mountainside

ダイレクトトレード

SLURPと提携しているロースタリーの多くは、ダイレクトトレードによりコーヒー豆を入手しています。ダイレクトトレードでは、ロースタリーは仲介者を通さず生産者から直接生豆を購入することができ、また、生産者との良好で長期的な関係を構築することができます。このことは、全収入が生産者のもとへ直接行き、その収入を、コーヒー農園や周辺地域の改良に費やすことができるということを意味します。こうすることによって、コーヒーについての確かで透明な情報を消費者の皆さんにお伝えできるようになるのです。透明性のあるコーヒーからは、例えば、ある特定の山の側面にある特定の農園で栽培された、などの情報が入手できます。

提携先ロースタリーの多くが、取引先のコーヒー生産国・地域で、ヘルスケアや教育、電気と水道の整備による環境改善のための多くの社会的プログラムが、ダイレクトトレードによって始まったことを報告してくれています。

また、ロースタリーが直接農家を訪れるということは、生産過程における生産者との協働をも可能にします。良好で長期的な関係の基礎にあるのは、両者間の信頼です。信頼によって、ロースタリーは高品質なコーヒー豆を生産者から直接購入することができ、生産者は不安定な収穫期にも安心して購入先を確保することができるのです。

スペシャルティコーヒーの輸入者

マイクロロースタリーには、ダイレクトトレードでコーヒー豆を購入するという選択肢がいつもある訳ではありません。ここで、生産者とロースタリーとをつなぐ、スペシャルティコーヒーに特化した特別な輸入者たちの出番です。これら特別な輸入者は、購入する生豆の品質に基準を設けています。なので、ロースタリーは安心して焙煎に集中できるのです。この特別な輸入者とは、例えば、Nordic ApproachFalconThisSideUpなどです。

また、これら輸入者は、ロースタリーに、直接農園を訪れ、生産ラインを見、生産者がロースタリーと同じ価値観を共有しているかどうか確かめる機会を与えるなど、生産者とロースタリーとをつなぐ役割を果たすことも多々あります。この場合、輸入者が、輸入や税関、コーヒー豆の保管、資金繰りなど、小さなマイクロロースタリーにとって難しく煩雑になりがちな手続きを引き受けます。

コーヒーの価格

コーヒー生産における大きな問題のうちの1つは、生産者がコーヒー農園の経営だけで食べていけるか、ということです。農家の収入は以下の3つのレベルに分けることができます。

  1. 貧困ライン(最低生活水準)
  2. 最低賃金
  3. 最低賃金 + 農園や生産ラインの改良に費やせる十分な資金

私たちも提携先ロースタリーも、上記3つのレベル以上の収入を生産者に与えることができればと思っています。コーヒー農園から得られる収入は、生産者が、農園を改良し、人々が買いたいと思えるようなコーヒーを作る可能性とモチベーションを兼ね備えたレベルで最低でもあるべきです。生産者は、彼らの家族だけでなく、農園で働く雇用者の生活をも改善できる必要があるのです。

私たちの行動で、生産者とロースタリー間の良好で長期的な関係を支援したいと思っています。
Man picking coffee

認定

でも、コーヒーの認定についてはどうでしょうか?オーガニックなどの認定がついていれば、コーヒーに関する問題はすべて解決、と思っていませんか?でも現実はそうではありません。

コーヒーを認定するという考え自体はいいのですが、現実は理想とはかけ離れています。コーヒーが認定を受けるために、農家は多くのお金を払わないといけません。もちろん、彼ら自身の収入からです。このことは、小規模農家は、たとえ自身が育てたコーヒー豆が認定を受けるに値する場合にも、お金がないために認定を受けることができない、ということを意味します。

持続可能な生産

倫理的持続可能性

倫理的、財政的に持続可能なコーヒー生産とは、未来のあるコーヒー生産のことを指します。先程も触れたように、私たちの目指すところは、生産者が、農家の改良にお金を費やすのに十分な収入を得ることができる世の中にすることです。

私たちは、コーヒー生産国や地域に、生活水準の向上、教育制度の改善、ヘルスケアの制度改善をもたらすようなコーヒー生産を支援したいのです。

環境的持続可能性

環境的に持続可能なコーヒー生産は、直近ではブラジルの森林火災の一件で、世界中から注目を浴びるキーワードとなりました。環境的に持続可能な生産の目指すところは、未来でもコーヒーを生産し続けることができるような生産をすることです。具体的には、土壌の質の維持、侵食を最低限にひきとどめること、農園での生物多種多様性を維持することを意味します。高品質のスペシャルティコーヒーは、多くの場合、コーヒーやその他多くの作物に陰をつくる自然の森があるところで栽培されています。

コーヒーの未来

コーヒー生産の未来はどのようになっているでしょうか?私たちは、コーヒー生産にまつわる問題点と解決策について人々に講じることによって、私たちのビジョンの賛同者を増やすことができると信じています。これらの問題を一気に解決してくれるような策は今のところありませんが、100年後もコーヒーを楽しむことを可能にしてくれる持続可能な解決策に向かって、一歩一歩、前進していけると信じています。

より少ないコーヒーを楽しもう、でもそれと同時に、より良く、より高品質で、もっと持続可能にしよう!

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画像: Pasi Pelkonen (Cafe Nazca), Joonas Reinikainen (Kahiwa Coffee Roasters) and Life Earth Reisen

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